2015/04/15 創立記念日講演会「今、なぜ島村抱月の百年祝祭なのか」
4月15日は本校の創立記念日です。創始者三上アイ先生が明治40年4月15日に邑智郡川本町で邑智裁縫女学館を設立されて、今年で108年となりました。
本日は創立記念日の学校行事として、石見地方で市民演劇の演出をして活躍され、島村抱月研究でご高名の岩本功先生(浜田市教育文化振興事業団副理事長)においでいただいて、石見地方出身の偉人、近代演劇の祖の島村抱月について「今、なぜ島村抱月の百年祝祭なのか~抱月の特性と石見~」という演題でお話しをしていただきました。
島村抱月は現浜田市金城町の経済的に厳しいに生まれ、15歳から現浜田市の地方裁判所で働き始め苦学勉励し、認められて東京専門学校(現早稲田大学)に進学。英文科を首席で卒業した。英国、ドイツ留学時に日本の演劇と西洋の演劇の大きな違いを痛感、近代劇から強烈な感動を受けて帰国。主題、女優、演技(言葉と動き)、音楽(歌)、舞台照明の舞台芸術の5項目を取り入れた。今現在、「新劇の祖」となぜいわれるか、抱月の演劇の先進性について話されました。
岩町先生は「抱月は芸術座という大衆演劇と研究劇を追求する小劇場と演芸の【2元の道】を追求し、経済的にも独り立ちでき、給料で生活できる役者を作った先進性を持つ。それが今抱月が見直されている理由だ」といわれました。
抱月が当時の他の芸術家と大きく異なっていたのは、石見で育ったことが大きい。抱月の演劇は上演に商品経済・計数観念がある。これは抱月が貧し家庭で育ち、年少時から苦学勉励したからであろうし、演劇に著作権という考えを取り入れたのは、浜田の地方裁判所で勤務した経験から法律に明るかった。また抱月が持っていた男女平等の先駆的な女性観も苦労して育った環境によるものだと思うと話しをされました。
岩本先生も大学を卒業されて演劇を志された経歴をもたれ、86歳になられた現在もこの地方で情熱的に市民演劇の企画・演出をされています。岩町先生の演劇に対する強い情熱と郷土の偉人島村抱月への高い敬意を感じられた1時間でした。生徒たちは郷土の偉人についての新たに学んだ創立記念日講演会でした。